浅川マキ 「こんな風に過ぎて行くのなら」 石風社
2003年7月に発行された,マキさんの初エッセイ集。
この本に収録されている「ネオン輝く日々」というエッセイが,"Sam Cooke at the Copa" について書かれた文章だった。
ちょっと長くなるけれど,最後の一節をそのまま引用させてもらうと,・・・
<前略>
サム・クックと云う歌手を語るのは困難なのではないのか,と思う。旅先の店の片隅で彼の唄うゴスペル,ブルースを聴いた。暗くて深い一拍は黒人の主張を伝えている。彼のもつブルー・ノートな声質と相俟ってこちらに,より辛く刺さってきた。
そんなサム・クックが,いきなりフロア・ショーで客席に語りかけ,ときには笑いながら「あんた,そう思う,だろ,『テネシー・ワルツ』,いい,うた,だって,だからさ,今夜は唄っちゃうよ,ほら,エーメン,エーメン,これだってスウィングしてるバンドに乗せて唄えば,そうそう,その調子さ,ハハハハ」。この明るさ,ポップなサム・クックに嬉しくなってどれだけ針を落としただろうか。だが,時間(とき)が経つ程に,明るさの向こう側に彼のディープなソウルが見えてくる。重くて暗い直接的な表現よりも,この一枚には彼が抱く背景がみえる。<後略>
あまりにも的確すぎて付け加えるべき言葉が無い。Rod や Otis Clay のカバーは愛聴していたけれど,Sam Cooke の名前が出てくるとは予想していなかったので,初めてこの章を読んだときは,本当に泣きそうになった。
浅川マキ は,ぼくが唯一,面と向かってサインをもらった歌手です。
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2005年2月23日 23時52分
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浅川マキ 「DARKNESS III」 [東芝EMI TOCT-9985〜86]
DISC 1: 初期作品集 (vol. 2)
1. こんな風に過ぎていくのなら 2. 引越し
3. 町 4. あなたなしで 5. 淋しさには名前がない 6. 港の彼岸花 7. オールド レインコート 8. If I'm On The Late Side 9. あたしのブギウギ
10. 眠るのがこわい
11. かもめ
12. あの男(ひと)が死んだら
13. 赤い橋
1.〜 2. 『裏窓』 -1973
3.〜 9. 『ライブ 夜』 -1978
10. 『浅川マキ II』 -1971
11. 13. 『浅川マキの世界』 -1970
12. 『こんな風に過ぎて行くのなら』 -1996
4. 「あなたなしで」が,Otis Clay "Trying To Live My Life Without You" のカバー。
ライブ録音で,ドラム:つのだ☆ひろ,ベース:吉田健,ピアノ:白井幹夫,生ギター:池田洋一郎,ギター:萩原信義 というメンバーによる演奏。
マキさんの声の調子がもうひとつなのが残念だが,別にスタジオ録音もあって,そのバージョンでは坂本龍一がキーボードを担当していた。
7曲目「オールド レインコート」はもちろん Rod Stewart のソロから。8曲目 "If I'm On The Late Side" は Rod と Ronnie Lane が共作したナンバーで "Ooh La La" に収録されていた曲。
この CD には収録されていないが,ほかに「ガソリン アレイ」もカバーしていたし,Ronnie Lane 作の "Just Another Honky" とか,Bobby Bland のバージョンが気に入って取り上げたら先に Rod が歌っていたという 「それはスポットライトではない」なども,マキさんは歌っていた。
当時,ベースの担当は高中正義とか稲葉国光さんとか変動があったけれど,ドラムはほとんどが つのだ☆ひろ だったと思う。最近 TV の CM (タウンワーク?)に出演しているのは本人なんだろうか? ちょっと複雑な気分・・・(^_^;)
昔,何かの雑誌のインタビューで,マキさんが つのだ☆ひろ と好きなドラマーの話をしていたら,共通していたのが Bernard "Pretty" Purdie だったというのを読んで,なるほどな・・・と,妙に納得した記憶がある。
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2005年2月23日 21時19分
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Sam Cooke "The Man And His Music" [RCA R32P-1041]
1. Touch The Hem Of His Garment
2. That's Heaven To Me *
3. I'll Come Running Back To You
4. You Send Me
5. Win Your Love For Me
6. Just For You
7. Chain Gang
8. When A Boy Falls In Love *
9. Only Sixteen
10. Wonderful World
11. Cupid
12. Nothing Can Change This Love
13. Rome Wasn't Built In A Day *
14. Love Will Find A Way *
15. Everybody Loves to Cha Cha Cha
16. Another Saturday Night
17. Meet Me at Mary's Place
18. Having a Party
19. Good Times
20. Twistin' the Night Away
21. Shake
22. Somebody Have Mercy *
23. Sad Mood
24. Ain't That Good News
25. Bring It on Home to Me
26. Soothe Me *
27. That's Where It's At
28. A Change Is Gonna Come
1987年に RCA から出されたベスト盤 CD。
ABKCO との権利関係のゴタゴタからいつの間にか廃盤になり,中古市場でかなり高値で取引されていたが,"Portrait of a Legend" が発売されてからは,手ごろな値段で買えるようになっているはず。
* 印の6曲が "Portrait 〜" には収録されなかった曲。
LP 2枚組のアナログ盤も2千円前後で出回っているので,オススメ。
"Portrait 〜" の,ロダンの「考える人」を連想させるような苦悩する姿とは異なり,正面を向きにこやかに微笑む Sam Cooke の大きなジャケット写真を眺めながら,彼の歌声を聴くのも,また乙なもの・・・。
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2005年2月23日 06時51分
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Otis Clay "The Best Of Otis Clay: The Hi Records Years" [Hi/Right Stuff 7243-8-36027-8]
この CD は,何の変哲も無いベスト盤のようだが,何と Cotillion 時代に録音された曲が収録されている。
7. She's About A Mover
14. Hard Working Woman
18. Is It Over
22. I'm Qualified
7. は Rick Hall プロデュースの Fame 録音,14. は Syl Johnson がプロデュースしたシカゴ録音,18. は Willie Mitchell プロデュースの Hi 録音で,22. は Muscle Shoals 録音。
英KENT のコンピ CD などに入っている曲もあるが,4曲まとめて聴けるのはコレだけなので貴重。
原曲を聴いたことはないのだけれど,Doug Sahm 作の "She's About A Mover" をカバーさせたのは,やっぱり Rick Hall だったらしい。
Hall convinced Otis to cover the Sir Douglas Quintet's spicy Tex-Mex shuffle "She's About A Mover." (ライナーより)
その昔 "Trying To Live My Life Without You" を「あなたなしで」というタイトルで日本語訳して歌っていた女性シンガーがいた。
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2005年2月23日 06時39分
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