Billy Eckstine "Complete Savoy Recordings (2 CDs)" [Jazz Factory JFCD22821]
Billy Eckstine が,自身のビッグ・バンドをバックに歌った楽曲を収録した CD。"Complete Savoy Recordings" とあるが,National Records というレーベルに,1945年5月から1947年4月までの間に録音された作品集。
Disc I: 2. A Cottage For Sale は Little Willie John に,Disc I: 6. は James Brown にカバーされている。
Disc II: 1.〜 8. のセッションには若き日の Miles Davis が参加していて,彼がビバップに目覚めたのは,この Billy Eckstine のバンドに参加したのが,きっかけだったそうだ。(『東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編』 p.91)
このバンドのメンバーには,ぼくが名前を聞いたことがあるミュージシャンだけでも,Dizzy Gillespie, Dexter Gordon, Art Blakey, Charlie Parker, Fats Navarro, Gene Ammons など,そうそうたるミュージシャンがいたが,この録音には Dizzy Gillespie と Charlie Parker は参加していない。ライナーには,The Billy Eckstine Orchestra was the first bop big band, and its leader reflected bop innovations by stretching his vocal harmonics into his normal ballads. とあるが,即興演奏が中心のはずのビバップと Billy Eckstine のボーカル・スタイルがいったいどういう関係にあるのか,『東大アイラー』を読んだあとでも未だによく分からない・・・(^_^;)
もっとも,ぼくがこの Billy Eckstine に興味を持ったのはそういう方面からではなく,AMG などで彼が The first romantic black male in popular music として紹介されていたから。
Sam Cooke 以前に白人に受け入れられたシンガーには Fats Domino や Louis Armstrong,Nat King Cole など何人かいるが,その多くがコミカルで道化的な風貌の持ち主だったのに対して,この Billy Eckstine は,ロマンティックでセクシーなアイドルとして認められた最初の African American のシンガーだった。ただし,祖父はドイツ系の移民。
Sam Cooke が歌い方などで直接影響を受けているとは思えないが,Lou Rawls には,同じバリトンとしてかなり大きな影響を与えていたようだ。
このビッグ・バンドが財政的に維持できなくなり解散した後,ソロ・シンガーとして,独特のビブラートを持つ豊かなバリトンを駆使し,バラード歌手として活躍した MGM 時代の作品集の方が,個人的には,お気に入り。
◎ "Everything I Have Is Yours: The Best of the M-G-M Years (2 CDs)" [Verve 819 442-2] -1994
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2009年4月27日 07時00分
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Past MUSIC in 2009 |
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