ニックネーム:Mr.Pitiful
タイトルの "R 'n' S & B" は "ROCK 'n' SOUL & BLUES"。 "+ c" は, 最近聴き始めた Country Music 。
2009年03月20日(金)
Marlin Greene "Tiptoe Past the Dragon"
Marlin Greene "Tiptoe Past the Dragon" [Elektra/Collectors' Choice CCM-997]

Jeanie Greene の CD に続いてリイシューされた,彼女の夫であった Marlin Greene の唯一のソロ・アルバム。

Marlin Greene と言えば,Percy Sledge "When A Man Loves A Woman" を Quin Ivy と共同でプロデュースし,Quinvy や Muscle Shoals Sound のスタジオでエンジニアやプロデューサとして活動しながら,Eddie Hinton などとの共作でソウルの名曲をいくつか書いている人物。

"Cover Me" (Marlin Greene/Eddie Hinton)
◎ Percy Sledge "It Tears Me Up: The Best Of Percy Sledge" [MMG AMCY-407]
◎ Jackie Moore "Sweet Charlie Babe" [Atlantic WPCR-25225]
◎ Ted Taylor - V.A. "Deep Soul Vol.1: From Chicago to Shreveport" [Fuel 2000 302 061 145 2]
● Eddie Hinton "Dear Y'all: The Songwriting Sessions" [Zane ZNCD 1016]
◎ Bonnie Bramlett "It's Time/Lady's Choice" [Raven RVCD-172]

"Down In Texas" (Marlin Greene/Eddie Hinton)
◎ Oscar Toney, Jr. "For Your Precious Love" [SUNDAZED SC 11093]
◎ Don Varner "Finally Got Over!" [RPM/Shout RPMSH 299]
● Eddie Hinton "Playin' Around: The Songwriting Sessions, Vol. 2" [Zane ZNCD 1020]
● The Hour Glass "The Hour Glass" [BGO CD 536]

"It's All Wrong But It's Alright" (Marlin Greene/Eddie Hinton)
◎ Percy Sledge "It Tears Me Up: The Best Of Percy Sledge" [MMG AMCY-407]
● Laura Lee "The CHESS Collection" [CHESS 983 294-2]
◎ Bill Brandon "On The Rainbow Road: The Muscle Shoals and Birmingham sessions" [Soulscape SSCD 7001]
● Eddie Hinton "Dear Y'all: The Songwriting Sessions" [Zane ZNCD 1016]

"Faithful and True" (Marlin Greene/Jeanie Greene/Dan Penn)
● Z.Z. Hill "The Brand New Z.Z. Hill" [S.D.E.G./P-Vine PCD-903]
◎ Percy Sledge "The Undiscovered Deep Side of Percy Sledge" [east west japan AMCY-2355]

しかし,本人名義で制作された表題のアルバムからは,そういったソウル色はほとんど感じられない。
全体的な印象は,アコースティックでフォーキーなカントリー・ロック。何よりもまず,透明でさわやかな感じさえするその歌声に驚かされる。アルコールやドラッグ抜きで健康的な Gram Parsons ・・・という雰囲気がある。
ライナーによると,この Marlin Greene は,高校生のころ(1957) に作ったシングル盤がカントリー・シンガーの Jim Reeves の耳に留まってカバーされ,それがきっかけで RCA と契約することになり,Nashville で Chet Atkins のプロデュースによって録音したことがあったのだそうだ。Jeanie Greene と知り合ったのも,その Nashville でのセッションだったらしい。ただ,その結果は芳しいものではなく,音楽業界から足を洗うつもりで Muscle Shoals にもどってきたところ,スタジオを始めようとしていた Quin Ivy に声をかけられて協力することになったそうだ。
Percy Sledge の歌がヒットした後,エンジニアやプロデューサとしての仕事を続けながら,レコーディングにやってきた Don Nix や Leon Russell との交流を深め,"Concert for Bangladesh" では Jeanie や Claudia Lennear といっしょにバック・コーラスを務めたりもしている。
ところが,このソロ・アルバムを録音するころ(1972) にはシンガーやミュージシャンとしての情熱は冷めてしまっていて,アルバムの完成後,プロモート・ツアーもせずに Elektra レコードの Los Angeles のオフィスでデスク・ワークのような仕事に専念してしまう。その Elektra での仕事も David Geffen が管理するようになるとあっさりと退き,音楽業界からも身を引いて,その後は,シアトルで a graphic desinger, stained glass artist and web designer として活動を続け,最近では a nature photographer をしているらしい。
ぼくは,彼の名前が '70 年代後半からぷっつりと消えてしまっているので,当時のよくあるパターンで,てっきり酒とドラッグにまみれて体を壊し,早死にしてしまったのだろうと思っておりました・・・(^_^;)
ライナーに引用されている彼の発言を読むと,この Marlin Greene という人物が非常に冷静で物事を理詰めで考えるタイプの人間であることが分かる。それは,このアルバムの内容にも表れているようだ。ただ,そういう頭でっかちのサウンドは,個人的には,どうしてもとっつきにくい。また,たとえプロモートしていても大して売れなかっただろうし,ミュージック・シーンから足を洗ったのは正解だったのではないかとも思う。

Jeanie Greene とは,ロスへ移って Elektra の a day job を始めた時点で別れてしまったらしい。Jeanie の CD のライナーによると,
... Everything else was living hell because of what was going on with Marlin and me. He'd made an announcement that he was going to California. It was weird; he was weird. That place and time musically was the most exciting time of my whole career, but in my personal life it was a nightmare.

身勝手な男のわがままに振り回されて涙にくれる Jeanie Greene が可哀想だ・・・(T_T)

2009年3月20日 09時36分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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