ニックネーム:Mr.Pitiful
タイトルの "R 'n' S & B" は "ROCK 'n' SOUL & BLUES"。 "+ c" は, 最近聴き始めた Country Music 。
2012年10月31日(水)
James Booker "New Orleans Piano Wizard"
James Booker "New Orleans Piano Wizard: Live!" [Rounder CD 2027]

1. On The Sunny Side Of The Street (Jummy HcHugh)
2. Black Night (William Flynn)
3. Keep On Gwine (Mel Lastie)
4. Come Rain Or Come Shine (Harold Arlen & Johnny Mercer)
5. Something Stupid (Carson Parks)
6. Please Send Me Someone To Love (Percy Mayfield)
7. Tell Me How Do You Feel (Percy Mayfield)
8. Let Them Talk (Harry Carlson, Lew Douglass & Earl King)
9. Come In My House (Joe Tex)

アルバム・タイトルには "New Orleans 〜" とあるが,録音されたのは,1977年11月27日,the Boogie Woogie and Ragtime Piano Contest, Zurich, Switzerland における演奏。
「悲劇の天才」シンガーが Little Willie John なら,「悲劇の天才」ピアニストと言えるのが,この James Booker
その最期(1939-83) は,「チャリティ・ホスピタルにかつぎこまれ,廊下の車椅子に乗せられたまま,ほったらかしにされ」,「病院側が異状に気づいたとき」には「もう手遅れだった」そうだ。(p.357 『フードゥー・ムーンの下で』ドクター・ジョン,ジャック・ルメル 共著 森田義信 訳 ブルース・インターアクションズ 刊)
Dr.John の自伝的な内容の同書を読むと,James Booker は,そういう風に「ほったらかしにされ」ても仕方がないような,世間一般の目から見れば「最低」の人間だったが,そんな James Booker が生み出した音楽には,究極・至高の美しさがあった。

アル中でジャンキーというのは,ぼくの好きなシンガーやミュージシャンの中にゴロゴロしているが,彼は異常性愛者でもあった。ぼくは同性愛者に対しても偏見は持っていないつもりだが,彼の行状は,あの Dr.John にさえ 「ブッカーは嫌と言うほど私の神経を衰弱させてくれた」(同書 p.341-) と言わしめるほど。その一方で,Dr.John は,次のようにも語っている。
「やつは天才だった。私の人生の中で,会えてよかったと心から思えるやつをひとりだけ挙げるなら,それは,ジェイムズ・キャロル・ブッカーだ。」(同書 p.358)
Neville Brothers の末弟 Cyril Neville による 「彼は心の病を抱えてた人間だけど,音楽の世界を変えた数々のピアノ奏者の誕生の地であるニューオーリンズも,ジェイムズ・ブッカーを超える人物は生んでいないんじゃないかな。」(p.427 『魂の宿る街ニューオーリンズからーネヴィル・ブラザーズ自伝ー』デイヴィッド・リッツ 共著 石山淳 訳 ブルース・インターアクションズ 刊) という最大級の賛辞も残っている。

James Booker とは正反対の,完全無欠であることが唯一の欠点と思えるような Harry Connick,Jr. は,'Let Them Talk' をカバーしたとき,'I guess I thought he wrote it, probably because he sang it so personally.' とコメントしていた。
● "Oh, My Nola" [Columbia 82876 88851 2] -2007
HCJ - Let Them Talk @Youtube
http://www.youtube.com/watch?v=CHfa-x0c0p0

Let Them Talk - James Booker @Youtube
http://www.youtube.com/watch?v=_hSku2UTkmE


◎ V.A. "Patchwork: A Tribute to James Booker" [STR STR-1014] -2003
↑ のようなトリビュート・アルバムも作られているが,それには収録されていない Harry Connick,Jr. が捧げた ↓ が感動作。
Booker- Harry Connick, Jr. @Youtube
http://www.youtube.com/watch?v=0XMJdAUxQlI

 表示されるスライド・ショーが曲の雰囲気を上手く表現している。
ドラムやギターも含めて全ての楽器を Harry Connick Jr. が演奏していて,尊敬するミュージシャンである James Booker を救えなかった自分自身に対する怒りと同時に,有り余る才能を持て余して自滅してしまった James Booker に対する怒りも込められているような気がする。
...And now you know why Booker died of a broken heart というリフレインが印象的。
↓ のアルバムの収録曲。
◎ "She" [Sony/Columbia 64376] -1994
 George Porter,Jr. や Zigaboo Modeliste も参加していて,Harry Connick,Jr. の作品の中では最も New Orleans Funk 色が強いアルバム。
2012年10月31日 22時48分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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