GRITZ さんのところで,Kip Anderson が亡くなったことを知ってから大分経つので,ちょっと間が悪いのだが・・・(^_^;)
Checker や Excello など,いろいろなレーベルでシングル盤をリリースしていたり,Nappy Brown (ストーンズも歌っている "Night Time Is The Right Time" を最初に歌ったシンガー?) とのデュエット・アルバム "The Best of Both Worlds" (未入手) もあるが,単独のアルバムとしては,以下の2枚だけのはず。
◎ Kip Anderson "A Dog Don't Wear No Shoes" [Ichiban/Teichiku TECX-25449]
1. Lonely Man (Chuck Armstrong)
2. A Dog Don't Wear No Shoes (Kip Anderson)
3. She Called Me Baby (Harlan Howard)
4. 20 Room House (Sam Mosley / Bob Johnson)
5. Your Sweetness Is My Weakness (Sam Mosley / Bob Johnson)
6. I Need You So (Larry Darrell)
7. State Of Shock (Richard Marks)
8. Wonderful (Kip Anderson)
◎ Kip Anderson "A Knife And A Fork" [Ichiban ICH 1160-2]
1. Private Tonight (Adams, Anderson, and Webb)
2. Pretty Woman (Richard Marks)
3. Without A Woman (Ivy, Penn and Miller)
4. Sweet Inspiration (Wallace Pennington, Lindon and Oldham)
5. So Sad To Be Lonesome (Williamson)
6. A Knife And A Fork (Kip Anderson)
7. Lonely Avenue (Jerome Pomus)
8. The Careless Things We Do (Stanley Banks)
9. Blue Moon (Hart and Rodgers)
10. Givin' My Love To The Other Man (Ronnie Lovejoy)
'60 年代後半に Excello からリリースされた曲は,最近めでたく再発された "Heart of Southern Soul" のシリーズに収録されているが,その頃にはもうヘロインを常用しており,'70 年代の終わりから10年間ほど矯正施設に入所させられていたらしい。その施設内で更生し,子供の頃になじんでいたゴスペルの世界にもどり,出所後にはゴスペル曲をリリースしている。
その後,1992年に Ichiban レーベルから初めてリリースしたソロ・アルバムが,"A Dog Don't Wear No Shoes" 。
手元にあるのは日本盤 CD で,解説(桜井ユタカ) と歌詞が付いている。邦題は 『復活!!/キップ・アンダースン』。
「犬は靴をはかない」という奇妙なタイトルの意味は・・・男を連れ込んで浮気をしていた女が,裏口から男を逃がした後,「あれはただの犬よ」 と言うので調べてみると,裏庭には靴の足跡が点々と・・・。犬は靴などはかない。そんな言い訳でごまかされるほどオレはバカじゃない・・・。一時は回心してゴスペルを歌っていた人間にふさわしい歌だとは,とても思えない・・・(^_^;)
桜井さんの解説の最後が 「もう少しソウル色を強く前面に押し出してくれれば申し分ないところだ」 という文句で終わっているように,サザン・ソウルを期待して聴くとがっかりするので,ご注意。ただし,Bobby Bland タイプのBlues 'n' Soul が好きな人には気に入ってもらえるはず。
Chuck Armstrong 作の 1. Lonely Man の「力強い歌いぶり」を気に入った桜井さんが,「この一曲で,K. アンダースンをもう一度どっぷりソウルの世界に引きずり込んでみたいと思ってしまった。社長の John Abbey に,是非ともこのことを進言するつもりだ」と書いておられるのだが,その「進言」が功を奏したのか,翌年リリースされた "A Knife And A Fork" は,Checker 時代の 3. Without A Woman と 6. A Knife And A Fork をセルフ・カバーしていることからも想像できるように,ソウル色が強くなっている。
Penn/Oldham の "Sweet Inspiration" や Doc Pomus の "Lonely Avenue" などのソウル・スタンダードも,歌・演奏ともになかなかだし,自作とされているナンバーも,どこかで聴いたことのあるようなメロディと雰囲気の曲ばかり。
1996年に Nappy Brown とのデュエット・アルバムをリリースした後は,再びゴスペルの世界にもどり,ラジオでゴスペル・ショーのホストを務めていたらしいが,この8月29日に心臓病のため,永眠。
ご冥福をお祈りしたい。
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2007年10月6日 09時33分
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