『ポピュラー音楽の世紀』 中村とうよう
『ポピュラー音楽の世紀』 中村とうよう 著,岩波書店 刊
1 矛盾を抱えて出発したアメリカの音楽
2 奇妙に屈折した大衆音楽、ジャズ
3 最初の世界演奏がカリブで生まれる
4 ラテン・アメリカ音楽の形成
5 スリランカ、インドネシア、ハワイの音楽
6 歌における虚構と真実
7 黒人音楽が達成した大変革
8 世界ポピュラー音楽の黄金期
9 戦後ラテン・アメリカ音楽の展開
10 50〜60年代アメリカ音楽の大噴火
11 ロック以後の世界音楽の模索
12 波の彼方のポストモダン
奥付に,1999年9月20日 第1刷発行 とある本だが,これを引っ張り出してきたのは,↓ のようなニュースが飛び込んできたから。
「音楽評論家の中村とうようさん、自宅から飛び降り自殺か」
http://www.asahi.com/national/update/0721/TKY201107210520.html
いろいろな事情はあったのだろうが,それにしても,もう少しスマートな,格好のいい「けり」のつけ方はなかったのだろうか・・・? という気がしてしかたがない。
「いまだに Blind Boys of Alabama のアルバムを先入観なく聴くことができない」など,とうようさんから受けた影響は少なくないだけに,ショックは大きかった。
表題の新書で,「ポピュラー音楽」は,「傑出した天才の個人的な才能と努力の成果」である「クラシックのような芸術音楽」と,「多数の名もない一般の人々が日常生活の中で生み出」される「民謡のようないわゆる民俗音楽」の「両方の要素」をもつものとして定義されている(「まえがき」より)。
「あとがき」(p.229) には,「とくにこの本は,アメリカ本位の立場でおこなわれてきたこれまでのポピュラー音楽についての多くの言説を相対化し,むしろ非西欧,非先進国の音楽の価値を再発見しようとする姿勢を明確に打ち出している。この点でも読者はこれまでの常識との食い違いに戸惑われるだろう。だが,常識を後追いするだけの本など買う価値も読む価値もないわけだ。」とあり,最後の一文など,とうよう節全開・・・(^_^;)
もちろん,「中村とうよう」の言説も「常識」として鵜呑みにするべきでないことは言うまでもないが,それが知的な刺激となり,「音楽」を聴く際の姿勢・方法論の形成において多大な影響を与えられた人は少なくないはず。
最近は更新が滞っておりますが,「常識を後追いするだけの」「読む価値もない」ブログにならないよう気をつけながら,細々とでも続けていきたい・・・と考えている今日この頃であります。
ぼくが最初に購入した 『ニューミュージック・マガジン』 は,1970年2月号↓
「ローリング・ストーンズを考える」という特集の内容は,
「アメリカ公演の成功はストーンズにとって何を意味したか」 福田一郎
「チャック・ベリーを軸としてビートルズとストーンズをとらえれば…」 中村とうよう
「新盤『レット・イット・ブリード』にみるロックン・ロールの本質」 桜井ユタカ
桜井さんは,この2ヵ月後の「『ニューミュージック・マガジン』ベスト・レコード賞」で,選定委員として,"Let It Bleed" を一位に推しておられた。
久しぶりに引っ張り出してパラパラとめくっていたら,福田一郎さんの「輸入盤紹介」のページに ↓ が掲載されていた。
◎ The Fame Gang "Solid Gold From Muscle Shoals" [Fame SKAO 4200]
未 CD 化のアルバムだけれども,海外ではシングルも含めてデジタル化されたものがリリースされているので気になっております。
○ Fame Gang "Solid Gold From Muscle Shoals (Expanded Edition)" MP3 Download
http://www.cduniverse.com/productinfo.asp?pid=8501030
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2011年7月23日 10時28分
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誤解はされませんよう。私は中村氏信者ではありません。
自殺したアイドルのファンが,「身内や友人でも無い」のに,アイドルに対して泣いたり怒ったりするのと同じようなものだと考えていただければありがたいですが・・・m(_ _)m